【2011年1月公開記事】目黒区子ども条例

2011年1月20日

2005年、目黒区では、「子どもたちが元気に過ごすことのできるまち」をめざして、「目黒子ども条例」が制定されました。それから、5年。区民の立場から制定に関わり、現在も周知活動に取り組んでいらっしゃる「子ども条例5周年記念区民のつどい実行委員会 事務局」の久保田さんに、子ども条例についてお話を伺いました。

*以下、編=編集員、久=久保田さん

編:「“目黒区子ども条例”をご存知ない方もいるかと思います。この条例が何を定めているのかをお聞かせください。」

久:【子どもが自分の力で考え、行動し、経験を通して成長する“子育ち”を支える大人の役割について明文化したものです。】

編:「この国連総会で採択された“児童の権利に関する条約”に基づいた条例は、日本国内では、目黒区が4番目に制定したそうですね。そのような早い段階で目黒区が子ども条例を制定することとなった経緯をお聞かせください。」

久:【平成16年1月11日に第1回「子どもの条例を考える区民会議」が開催されました。メンバーは22人、学識4人・関係団体8人・高校生2人を含む公募区民7人・学校関係2人。当時の区長は薬師寺さんで、平成12年基本構想を策定し「区民と行政の協働によるまちづくりの推進」を位置付けていました。この構想を元に、平成14年5月に、協働を考える「区民フォーラム設置準備会」発足。平成15年9月に「協働区民フォーラム」が正式に発足し、平成16年11月にフォーラムからの提言「目黒らしい協働のあり方」を区長に手渡しました。
私は、この二つの区民会議に関係しており、子ども条例の会議が始まったころには、協働の方も「生みの苦しみ」を味わっている最中で、大変だったけれど充実していた記憶があります。大切なのは、区が「子ども条例」を区民との協働で作ろうとしていたところです。更に言えば、子どもも一緒になって作ろうと考えたところだと思います。私は「めぐろチャイルドライン」という、子どもの声を電話で聴くことを主な事業として活動するNPOに所属しています。代表でもあり、あちこちの条例作りに関わっている早稲田大学教授で目黒区民の喜多先生を講師に「子どもの権利条約」を学び、平成13年にNPO設立の準備を始めた頃から区との関わりの中で「子ども条例」作りを区に勧めてきました。勿論他の団体や関係者もそうした働きかけをしていたことと思います。また、平成17年に区は「めぐろ子どもスマイルプラン」も策定しています。そんな機運と、区の掲げた「区民と行政の協働によるまちづくりの推進」という基本構想の方針がマッチしたのが幸いしたと考えています。】

編:「区民と行政が、同じ方向を向いたことで制定された条例ということですね。では、子どもの条例を考える区民会議で、印象に残っていることはありますか?」

久:【第2回会議の時「目黒区子ども委員会」の設置要領が示され、子ども参加サポーターとして関われた事です。「気持ち集め隊」と題して11歳から18歳までの子どもを募集しました。最初に集まったのは4人。この時の事が読売新聞都民版に大きな見出しで載りました。「子ども条例」興味ない?リポーター応募わずか4人 意見集めもままならず・・・というものでした。再募集をし、3回目には11人になり、本格的な活動が始まりました。大人や社会に言いたいこと、目黒区ってどんな所、から始まり、学校や地域や家族のことなど話したり、区長との懇談会を開いたりして、条例に盛り込みたいキーワード探しが出来、答申の中に活かされました。中でも印象に残るのは、子ども委員が一番こだわったキーワード「子どもと大人の信頼関係」が、条例の前文や、基本の考え方の中にしっかりと盛り込まれた事です。】

編:「子どもも一緒に作り上げた条例!区民一丸となった素晴らしい協働ですね。ところで今回、取材した内容を掲載します“めぐろ子ども・子育てネット”が、子ども条例による区の取り組みであることはご存知ですか?」

久:【区民会議の委員は、提言を出してしまえば終了という事では有りませんから、条例制定後どのように施策に反映されていくのか、常に気にしていますので、もちろん活動は知っています。】

編:「頼もしいお言葉ですね!では、子ども・子育てネットの閲覧者には子育て中の方々も多くいらっしゃいます。そこで、子どもは生まれたその時から権利を有すると聞いたことがありますが、生まれたばかりの新生児にある権利とは、分かり易くいうとどのようなものがありますか?」

久:【ユニセフの世界子ども白書2001年版p.14に、「乳幼児の権利・・・人生の初期の乳幼児期に最善の環境が用意され、生存・成長・発達の権利が保障されることは人間形成の基盤となるきわめて重要な事である」と記されていますね。】

編:「乳幼児の権利として、生存だけでなく、成長・発達もあるということですね。なるほど。久保田さん自身は、子ども条例を、どのような時に意識されますか?」

久:【GPS機能を搭載した携帯端末や、塾の出席・退席を知らせるチップの付いたカードの普及等の背景を考えたとき。また、虐待やいじめによる自殺等の報道を目にし、その背景を考えるときですね。】

編:「制定から5年の間に、子ども条例による変化を感じたことはありますか?」

久:【目黒区子ども総合計画の中に事業の“拡大”“拡充”“充実”“新規”などの文言を見た時、事業の整理・見直しが部局を超えて意識され始めている事は感じています。区民の間でも、新規事業としての「めぐろ子ども・子育てネット」への参加など、子ども条例が出来たからこそ広がってきた活動と捉えています。】

編:「確かに!子育てネットは、子ども条例から実際の活動になったものですね。では1月22日に、目黒区役所総合庁舎にて、子ども条例制定5周年を記念してイベントが行われますね。午前中に開催される講演会の講師の方について、ご紹介をお願いします。」

久:【講師は坪井節子さん、弁護士です。東京弁護士会子どもの人権救済センターで、いじめや不登校、虐待などの相談に関わっています。また、子どもシェルターである社会福祉法人カリヨン子どもセンターの理事長でもあります。】

編:「次に午後の部は、4つのグループでディスカッションですが、取り上げたテーマについて、その経緯を教えてください。」

久:【第1回の準備会でグループ討議の運営について話し合ったときに上がってきた12のキーワードを、条例の組み立てに沿った項目で整理しました。】

編:「グループディスカッションというと、保護者の中には、敷居が高く感じられる方もいるかと思いますが、事前の準備などは必要でしょうか?」

久:【何も必要ありません。今感じている事や考えている事を自由に話していただければありがたいと思っています。保護者だけでなく、子どもたちの参加も期待しています。】

編:「最後に保護者の方々へ向けて、メッセージをお願いします。」

久:【今回の「集い」は、子育ち・子育て支援に関わる区民やグループ・NPOの方々に集まっていただき、夫々の実践、意見の交流を通して今までの5年を振り返る事。これからの5年・10年を語り合う事を目的にしています。皆さんの参加を心からお待ちしています。】

編:「専門的なお話まで詳しくお聞かせいただき、ありがとうございました。これからも、子ども条例が老若男女問わず、広く区民の皆さんに浸透していくことに期待しています。」

ママ編集員